店舗付き住宅を売却したらかかる税金|売主が知るべき全体像

QUICK ANSWER ─ この記事が答える問い

店舗付き住宅を売ったとき、税金はどう計算されるのですか?

1棟の建物でも、税金の計算では「自分が住んでいた部分」と「店舗として使っていた部分」を分けて考えるのが基本です。国税庁は、店舗併用住宅でマイホームの特例を使えるのは居住の用に使っていた部分に限られるとしています。ただし居住用部分が全体のおおむね90パーセント以上なら、全体を居住用として扱える取扱いがあります。按分の割合が税額を大きく動かすため、売る前に税理士と確認しておくことをおすすめします。

1階が店舗、2階が自宅。そんな建物を長く持ってきた売主の方からよく出てくる質問が、「これは住宅として売るのか、事業用の物件として売るのか」というものです。登記上は1棟、売買契約も1本。それでも税金の世界では、この建物は2つの性格を持った資産として扱われます。

この発想を知らないまま進めると、使えたはずの特例を取りこぼしたり、逆に全体に特例が使えると思い込んで申告してしまうことがあります。店舗付き住宅の売却は、自宅の売却とも収益ビルの売却とも違う整理が求められる取引です。

この記事では、店舗付き住宅を売却した売主にかかる税金の全体像を、国税庁の公開情報をもとに整理します。個別の計算は税理士にご確認いただく前提で、「どこで何が決まるのか」の地図をお渡しします。

1棟の建物を「2つの資産」として計算する

ポイントは3個:

  • 売買は1本でも、譲渡所得の計算は居住用部分と事業用部分に分けて行うのが基本
  • 分ける対象は建物だけでなく、その敷地も同じ考え方で分ける
  • 按分の根拠となる面積の資料は、売る前の段階でそろえておく

押さえておきたいのは、譲渡所得の計算が「物件単位」ではなく「用途単位」で組み立てられる点です。物理的には1棟でも、住んでいた部分には住宅としての税制が、店舗として使っていた部分には事業用資産としての税制が、それぞれ別に適用される余地があります。

国税庁は、1つの家屋の中に居住用部分と店舗用部分が一緒になっている店舗併用住宅を売ったときに、マイホームを売ったときの3,000万円の特別控除の特例などの適用を受けることができるのは、自分の居住の用に使っていた部分に限られるとしています(出典:国税庁「No.3452 店舗併用住宅を売ったときの特例」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3452.htm/2026年10月時点)。この一文が、店舗付き住宅の税務の出発点になります。

なぜ分ける必要があるのか

住宅に用意されている税制上の配慮が、事業用資産には用意されていないからです。3,000万円の特別控除や軽減税率は、いずれも居住の用に供していた家屋を前提にした仕組みです。店舗部分にまで及ぼせば収益物件の売却との公平性が保てないため、適用対象を居住用部分に限る線引きがされています。

売主の立場では、居住用部分をどれだけ正しく主張できるかが税額に直結します。感覚で「半分くらい住んでいた」と申告するのではなく、図面や固定資産税の資料で説明できる状態をつくる必要があります。早い段階で税理士に相談し、按分の考え方を固めてから売買の話を進めると安心です。

土地も同じ考え方で分かれる

見落としやすいのが敷地の扱いです。建物を按分するなら、その土地も同じ比率で分けるのが基本的な整理になります。国税庁の算式も、家屋だけでなく敷地についての按分を示しています。土地の評価額が大きい物件では、影響は建物以上に大きくなります。

また、建物は売主個人、土地は相続した持分が複数人に分かれているような場合は、譲渡所得の計算そのものが人ごとに分かれます。権利関係が複雑な物件では、税務の整理の前に権利の整理が必要になることもあり、その段階では弁護士の確認も視野に入れておくとよいでしょう。

居住用部分に使える特例と「おおむね90パーセント」の取扱い

ポイントは3個:

  • 3,000万円の特別控除は、居住用部分についてのみ適用の余地がある
  • 居住用部分が全体のおおむね90パーセント以上なら、全体を居住用として扱える取扱いがある
  • 所有期間が長い居住用財産には軽減税率の特例もあり、併用関係を確認する価値がある

売主がもっとも金額的な影響を受けるのが居住用財産の特例です。国税庁は「マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例」があると説明しています(出典:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm/2026年10月時点)。所有期間を問わない点が、他の特例と比べて使いやすい部分です。

ただし要件は細かく、同庁は、売った年の前年および前々年にこの特例などの適用を受けていないこと、売手と買手が親子や夫婦など特別の関係でないことなどを挙げています。適用を受けるには一定の書類を添えた確定申告も必要とされています。要件が自分のケースに当てはまるかは、資料を見ながら税理士に確認するのが確実です。

「おおむね90パーセント以上」というもう一つの道

知っているかどうかで結論が変わりやすいのがこの取扱いです。国税庁は、店舗併用住宅のうち居住の用に使っていた部分が全体のおおむね90パーセント以上であるときは、全体を居住の用に使っていたものとしてこれらの特例の適用を受けることができるとしています(出典:国税庁「No.3452 店舗併用住宅を売ったときの特例」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3452.htm/2026年10月時点)。

玄関脇の一室だけを小さな事務所や教室に使っていたようなケースでは、按分せずに全体を居住用として扱える可能性があるということです。逆に90パーセントを下回る物件では按分が前提になります。境目の近くにある建物は面積の数え方で取扱いが変わり得るため、自己判断で決めず税理士に数字を見てもらうことをおすすめします。

所有期間が長い居住用財産の軽減税率

特別控除を引いてもなお譲渡所得が残る場合に検討したいのが軽減税率の特例です。国税庁は、所有期間が一定の年数を超えるマイホームを売ったときに、長期譲渡所得の税額を通常より低い税率で計算する特例があるとしています(出典:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm/2026年10月時点)。

長く商売を続けてきた店舗付き住宅は所有期間が長いことが多く、この特例の射程に入りやすい性質があります。具体的な年数や税率は国税庁のページで最新の内容をご確認のうえ、適用の可否は税理士に判断してもらうのが確実です。

按分はどう計算するのか

ポイントは3個:

  • 国税庁は家屋・敷地それぞれについて床面積を基準にした按分の算式を示している
  • 両方の用途で使っていた共用部分の扱いを事前に整理しておく必要がある
  • 按分比率は譲渡収入・取得費・譲渡費用のすべてに影響するため、一貫して使う

国税庁は店舗併用住宅の按分について、家屋と敷地それぞれの床面積を基準とする算式を示しています(出典:国税庁「No.3452 店舗併用住宅を売ったときの特例」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3452.htm/2026年10月時点)。建物全体の床面積のうち居住の用に使っていた部分が占める割合を求め、その割合を家屋と敷地に当てはめる考え方です。

実務で迷うのは「どの面積を分子に入れるか」です。1階がまるごと店舗、2階がまるごと住宅なら迷いませんが、実際には玄関・階段・トイレ・倉庫のように両方で使っていた空間があります。共用部分の振り分けは、建物の使い方の実態を踏まえた判断になります。

按分が影響する範囲を一覧で押さえる

計算項目 居住用部分 事業用部分
譲渡収入 按分比率に応じて配分 按分比率に応じて配分
取得費 按分のうえ建物は償却後の価額 事業で計上してきた帳簿価額との整合を確認
譲渡費用 仲介手数料などを按分 同じ比率で按分
3,000万円特別控除 適用の余地がある 対象外
消費税(建物部分) 売主の課税関係により判断 売主が課税事業者なら課税対象となる余地

按分は一度決めたら収入・取得費・費用のすべてに効いてきます。収入だけ按分して費用は全体で引くといった混在した計算は整合性を欠くため、最初に比率を固める作業が重要です。税額への影響が大きい論点ですから、資料をそろえた段階で税理士に検証してもらうのが安全です。

取得費と譲渡費用も分けて考える

ポイントは3個:

  • 取得費は購入代金などから建物の減価償却費相当額を差し引いて求めるのが基本
  • 事業用部分は過去に償却してきた履歴があり、その整合が問われる
  • 譲渡費用に含められるものと含められないものの線引きを事前に確認しておく

譲渡所得は、収入金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算されます。国税庁は取得費について、土地建物の購入代金や建築代金、購入手数料などの合計額から建物の減価償却費相当額を差し引いた金額になると説明しています(出典:国税庁「No.3252 取得費となるもの」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3252.htm/2026年10月時点)。

厄介なのは、減価償却の扱いが居住用部分と事業用部分で異なる点です。事業用部分は商売をしていた年々の所得計算で償却費を経費に計上してきたはずで、その積み上げが取得費に反映されます。過去の確定申告書や減価償却資産台帳が残っているかで作業量が変わるため、売却を考え始めた時点で書類を探しておくと税理士との打ち合わせが短く済みます。

取得費がわからないときの選択肢

代々受け継いできた店舗付き住宅では、いくらで取得したのかわからないことがあります。国税庁は取得費が不明な場合の取扱いとして、譲渡収入金額の一定割合を取得費とする方法を示しています(出典:国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm/2026年10月時点)。

ただしこの方法は、実際の取得費が判明している場合と比べて不利になりやすい性質があります。古い売買契約書、当時の領収書、建築時の請負契約書、通帳の記録など、裏づけになる資料が一つでも出てくれば状況が変わる可能性があります。手元の資料で足りるかは税理士に見てもらうのが確実です。

譲渡費用に入るもの・入らないもの

国税庁は、売るために直接かかった費用が譲渡費用の対象となる一方、修繕費や固定資産税など維持管理のためにかかった費用は譲渡費用にならないとしています(出典:国税庁「No.3255 譲渡費用となるもの」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3255.htm/2026年10月時点)。

店舗付き住宅では、テナントに退いてもらうための立退料や内装の撤去費用が発生することがあります。こうした支出の扱いは性質によって判断が分かれる論点です。金額が大きくなりやすいため、支出する前に税理士に確認し、立退きの合意書については弁護士に目を通してもらう段取りにしておくと後から困りにくくなります。

税率は所有期間で変わる

ポイントは3個:

  • 譲渡所得は長期と短期に区分され、適用される税率が異なる
  • 区分の基準となる所有期間は、売った年の1月1日を基準に判定する
  • 相続で取得した場合は取得時期の引継ぎがあり、見かけの保有年数と一致しない

国税庁は、土地や建物を売ったときの譲渡所得に対する税金は他の所得と区分して計算し、長期譲渡所得と短期譲渡所得で税率が異なると説明しています(出典:国税庁「No.3202 譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm/2026年10月時点)。

所有期間の数え方には注意点があります。取得した日から売った日までの実際の期間ではなく、売った年の1月1日を基準に判定する仕組みです(出典:国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm、「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm/2026年10月時点)。年末に引き渡すか年明けにするかで区分が変わり得るという意味で、引渡し時期の設定は税務上の論点になります。

相続した店舗付き住宅の所有期間

親から引き継いだ建物を売る場合、自分が相続した時からの期間だけで判定するわけではありません。相続や贈与で取得した資産については、被相続人や贈与者の取得時期を引き継ぐ取扱いが示されています(出典:国税庁「No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3270.htm/2026年10月時点)。

相続して間もない物件でも、親の代から長く保有していれば長期として扱われる余地があります。逆に言えば、税額を見積もるには親がいつ取得したかという情報が要ります。資料の読み取りと期間の判定は専門的な作業ですから、この部分を税理士に確認してから売り出し時期を決めると判断がぶれにくくなります。

譲渡所得税以外にかかる税金

ポイントは3個:

  • 売買契約書には印紙税がかかり、記載金額に応じて税額が変わる
  • 土地の譲渡は消費税の非課税取引とされ、建物部分の扱いが論点になる
  • 固定資産税などの精算は税金ではなく当事者間の清算として扱われる

まず売買契約書には印紙税がかかります。国税庁は、不動産の譲渡に関する契約書が印紙税の課税文書であり、記載された契約金額に応じて税額が定められていることを示しています(出典:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7108.htm/2026年10月時点)。

次に消費税です。国税庁は、土地の譲渡および貸付けが消費税の非課税取引とされていることを示しています(出典:国税庁「No.6201 非課税となる取引」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6201.htm/2026年10月時点)。したがって論点になるのは建物部分です。

店舗付き住宅の消費税をどう考えるか

売主が長く商売を営んでいた場合、消費税の課税事業者に該当している可能性があります。課税事業者が事業として建物を譲渡すれば、その部分は課税対象となる余地が出てきます。一方、自宅部分の譲渡は事業として行う資産の譲渡とは性質が異なるという整理もあり得ます。

この判断は事業の規模や建物のどの部分を事業に使っていたかといった要素がからむため、一般論で答えが出るものではありません。売買契約書に土地と建物の価格をどう書くかという契約実務にも直結します。金額の組み立ては税理士に、契約条項の表現は弁護士や宅地建物取引業者に確認してもらう体制で臨むのが安全です。

税務・法務の整理をあわせて進めるために

店舗付き住宅の売却は、税務と法務の論点が同じ場所で交差する取引です。按分の比率は税務の問題ですが、その根拠となる面積や使用実態は、賃貸借契約の内容や建物の現況という法務・実務の事実から導かれます。片方だけを整えても整合した説明にはなりません。

税務面で税理士に確認したい主な事項は、按分比率の設定根拠と計算方法、居住用部分が「おおむね90パーセント以上」に当たるかの判定、3,000万円特別控除および軽減税率の適用可否、取得費の算定と減価償却費相当額、譲渡費用に含められる支出の範囲、消費税の取扱い、申告時期と必要書類などです。

法務面で弁護士に確認したい主な事項は、テナントが入っている場合の賃貸借契約の承継、建物賃貸借に関する借地借家法上の制約、立退きを求める場合の交渉の進め方と合意書の内容、共有者がいる場合の処分権限、相続がからむ場合の遺産分割と相続登記の状況、告知事項の範囲と契約不適合責任の定め方などです。

双方に相談するのは手間に感じられるかもしれませんが、店舗付き住宅はもともと2つの性格を持つ資産です。両面から確認しておくことが結果として最短距離になります。相談は売り出す前の資料整理の段階が理想的です。

よくある質問

Q1. 店舗付き住宅でも3,000万円の特別控除は使えるのですか

国税庁は、店舗併用住宅を売ったときに3,000万円の特別控除の特例などの適用を受けられるのは、自分の居住の用に使っていた部分に限られるとしています(No.3452/2026年10月時点)。建物全体ではなく居住用部分が対象という点が出発点です。他の要件もありますので、ご自身のケースは税理士にご確認ください。

Q2. 住んでいた部分がほとんどを占める場合はどうなりますか

国税庁は、居住の用に使っていた部分が全体のおおむね90パーセント以上であるときは、全体を居住の用に使っていたものとして特例の適用を受けられるとしています(No.3452/2026年10月時点)。90パーセント前後の物件は面積の数え方で結論が変わり得るため、税理士に数字を見てもらう価値が高い部分です。

Q3. 玄関や階段のような共用部分はどちらに入れるのですか

国税庁の算式は床面積を基準とする考え方を示していますが、両方の用途で使っていた空間の振り分けは、建物の使い方の実態をもとに判断することになります。図面を持参して税理士に相談し、説明できる根拠を用意しておくのが現実的です。

Q4. 店舗部分を第三者に貸していた場合も同じ考え方ですか

自分で商売に使っていた場合も第三者に貸していた場合も、居住用部分に当たらない点は共通します。ただし貸していた場合は賃貸借契約の承継や立退きといった法務の論点が加わり、売り方そのものが変わります。税務は税理士に、賃貸借は弁護士に確認しておくとよいでしょう。

Q5. 土地の按分も建物と同じ比率になるのですか

国税庁は家屋と敷地それぞれについて按分の算式を示しており、敷地も居住用部分と事業用部分に分けて考える構成です(No.3452/2026年10月時点)。土地の評価額が大きい物件では影響も大きくなりますので、算式の当てはめ方は税理士にご確認ください。

Q6. 取得費がわからない古い建物はどうすればよいですか

国税庁は取得費が不明な場合の取扱いを公開しています(No.3258/2026年10月時点)。ただし実際の取得費が判明している場合と比べて不利になりやすいため、古い契約書や通帳の記録を探す価値があります。使える資料の判断は税理士にご相談ください。

Q7. 消費税は売主が負担することになるのですか

国税庁は土地の譲渡および貸付けが非課税取引であるとしています(No.6201/2026年10月時点)。建物部分は、売主が課税事業者かどうか、事業として行う譲渡に当たるかで取扱いが分かれます。契約金額の組み立てにも関わるため、売買条件を決める前に税理士にご確認ください。

Q8. 相続した店舗付き住宅の所有期間はいつから数えますか

相続や贈与で取得した土地・建物については、被相続人や贈与者の取得時期を引き継ぐ取扱いが示されています(No.3270/2026年10月時点)。相続直後でも長期として扱われる余地がありますので、親の取得時期を示す資料をそろえ、判定は税理士に委ねるのが確実です。

Q9. 引渡しを年末にするか年明けにするかで税金は変わりますか

譲渡所得は長期と短期で税率が異なり、その区分は売った年の1月1日を基準に判定する仕組みです(No.3208・No.3211/2026年10月時点)。そのため引渡し時期が区分に影響する場面があります。買主の都合もありますので、税理士の見立てを聞いてから検討するとよいでしょう。

Q10. 申告は自分でもできるものですか

確定申告の手続き自体は国税庁が案内を公開しています(No.2020/2026年10月時点)。ただし店舗付き住宅の売却は按分、減価償却、特例の適用判定が重なります。金額が大きくやり直しの難しい手続きですから、税理士に依頼するか、少なくとも按分の方針は事前に相談しておくことをおすすめします。

まとめ

店舗付き住宅の税金は、「1棟を2つに分けて考える」という一点を押さえれば全体像が見えてきます。居住用部分には3,000万円の特別控除や軽減税率という住宅向けの配慮が及ぶ余地があり、事業用部分には及びません。その線引きを決めるのが按分で、国税庁は床面積を基準とする算式と、居住用部分がおおむね90パーセント以上なら全体を居住用として扱える取扱いを示しています。

按分の比率は、譲渡収入だけでなく取得費や譲渡費用にも一貫して影響します。さらに所有期間による税率の区分、相続による取得時期の引継ぎ、印紙税や消費税の扱いが重なります。だからこそ、売り出す前の資料整理の段階で方針を固めることに意味があります。

図面や契約書を探し、按分の考え方を税理士と決め、テナントや共有者の問題があれば弁護士に確認する。この順番で進めれば、売買条件の設計も申告も無理なくつながります。税務の整理は早めに着手しておくと落ち着いて判断できます。

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