店舗付き住宅の売却で「得する売主」と「損する売主」の分岐点

QUICK ANSWER ─ この記事が答える問い

店舗付き住宅の売却で、得する売主と損する売主は何が違うのか?

分かれ目は、売り出す前に「居住用部分と事業用部分をどう按分するか」を設計できたかどうかにあります。同じ建物・同じ売却価格でも、按分の考え方、消費税の課税判定、取得費資料の有無、売却時期の判定によって手取り額は大きく変わる傾向があります。判断の前提となる数値は税理士に、契約条件や賃借人の扱いは弁護士に、それぞれ早い段階で確認しておくことが目安となります。

1階が店舗や事務所、2階以上が住居。店舗付き住宅は、住宅としての性格と事業用不動産としての性格を1棟に併せ持ちます。この二重性が、売却では税務・法務・価格形成に影響します。

やっかいなのは、通常の一戸建てを売る感覚のまま進めると、使えたはずの特例を取り逃がしたり、想定外の消費税負担が後から判明したりする点です。その多くは契約締結後では取り返しがつかず、分岐点は売り出す前に集中しています。

この記事では、手取り額を左右しやすい論点を一次情報を示しながら整理します。個別の適用可否は物件ごとの事実関係で変わるため、判断にあたっては必ず税理士や弁護士にご確認ください。

店舗付き住宅の売却が「普通の住宅売却」と決定的に違う理由

ポイントは3個:
① 1棟の建物が税務上は「居住用部分」と「事業用部分」に分けて扱われる
② 事業用部分には消費税という論点が発生し得る
③ 買主層が実需・投資家・事業者に分かれ、価格の考え方そのものが変わる

1棟なのに、税務上は2つの資産として扱われる

居住用財産の特例が使えるのは、建物のうち自分が住んでいた部分に限られるのが原則です。国税庁は、店舗併用住宅を売った場合に3,000万円の特別控除などの適用を受けられるのは自己の居住の用に使っていた部分に限られるとし、その面積を一定の算式で計算する方法を示しています。(出典:国税庁「No.3452 店舗併用住宅を売ったときの特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3452.htm/2026年9月時点)

売買契約書には1つの金額しか書かれていなくても、申告では建物を居住用と事業用に切り分けて計算します。これを感覚で進めるか根拠を持って組み立てるかが最初の分岐点であり、按分の根拠づくりは税理士の関与が前提になる領域です。

「事業に使っていた建物」であることの重さ

消費税の世界では、事業に使っていた建物の譲渡は課税の対象として扱われます。国税庁は、販売用の商品だけでなく、事業に使用していた建物や機械、車両等の事業用資産を譲渡した場合や、住宅賃貸用・店舗賃貸用の建物を売却した場合も課税の対象になるとしています。(出典:国税庁「No.3240 個人が事業用建物等を譲渡した場合の消費税」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3240.htm/2026年9月時点)

土地の譲渡は非課税のため、論点は建物の事業用部分です。納税義務の有無は課税売上高などで変わるため、早めに税理士へ判定を依頼するのが目安です。

買主が誰になるかで、価格の物差しが変わる

買主候補は「1階で商売をしながら上に住みたい実需」「賃料収入を目的とする投資家」「自社店舗として使いたい事業者」の3タイプが想定されます。実需は住み心地や住宅ローンの可否、投資家は利回り、事業者は立地を重視する傾向があり、同じ建物でも評価の物差しが違います。ターゲットを決めないまま価格を出すと、反応が鈍いまま値下げを重ねる展開になりやすいところです。

分岐点①:居住用部分の按分を売却前に設計できているか

ポイントは3個:
① 3,000万円特別控除が使えるのは居住用部分に対応する部分が原則
② 一方の用途がおおむね90%以上なら全体をその用途とできる取扱いがある
③ 按分の考え方は申告時ではなく売却前に税理士と詰めておく

居住用財産の3,000万円の特別控除は、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除できる制度です。(出典:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm/2026年9月時点)店舗付き住宅では、この控除の及ぶ範囲が論点です。

「おおむね90%」という分岐ライン

国税庁は、居住の用に使っていた部分が全体のおおむね90パーセント以上であるときは、全体を居住の用に使っていたものとしてこれらの特例の適用を受けることができるとしています。(出典:国税庁「No.3452 店舗併用住宅を売ったときの特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3452.htm/2026年9月時点)また、買換えの場面についても、居住用部分と店舗用部分のどちらか一方の用途の使用割合が建物全体のおおむね90パーセント以上になっている場合には、その用途に全体が使われていたものとして対応する特例の適用を受けることもできるとされています。(出典:国税庁「No.3455 店舗併用住宅を買い換えたときの特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3455.htm/2026年9月時点)

このラインの手前か向こうかで、控除の及ぶ範囲は大きく変わり得ます。ただし面積の数え方は事実認定の問題であり、自己判断で決め打ちするのは危険です。図面と使用状況を持参して税理士に相談し、根拠資料を揃えておくのが現実的です。

損する売主と得する売主の違い

場面 損しやすい 得しやすい
検討時期 申告の直前 売り出す前に税理士と方針決定
根拠資料 記憶と感覚 図面と申告書で裏づけ
整合性 過年度の按分と不一致 過去の申告と一貫

※一般的な傾向の整理であり、個別事案の適用可否を示すものではありません。

分岐点②:消費税の課税判定を見落としていないか

ポイントは3個:
① 土地の譲渡は非課税、事業用建物の譲渡は課税の対象という整理
② 事業用と家事用が混在する資産は事業用部分について課税対象となる
③ 納税義務の有無と税込・税抜の経理処理は税理士の判断領域

国税庁は、事業用資産の譲渡は事業に付随して対価を得て行われる資産の譲渡となるため消費税等が課税されるとしたうえで、土地や借地権の譲渡は非課税であり課税されないと整理しています。(出典:国税庁「No.6931 消費税等と譲渡所得」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6931.htm/2026年9月時点)

事業用と家事用が混ざっているとき

まさに店舗付き住宅の論点です。国税庁の質疑応答事例では、事業と家事の用途に共通して使用される資産であっても、譲渡すれば事業用の部分については課税の対象となる(按分)と示されています。(出典:国税庁 質疑応答事例「事業用及び家事用の両方に使用している資産を売却した場合の課税関係」https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/02/20.htm/2026年9月時点)

ここで問題になるのが、売買契約書における土地と建物の価格の内訳です。内訳は消費税額に直結し、買主側の減価償却にも影響します。配分の考え方は税理士に相談して交渉に臨み、契約書の文言は弁護士の確認を受けておくと解釈争いを避けやすくなります。

納税義務があるかどうかは別問題

課税の対象になることと納税義務が生じることは別の話です。国税庁も、納税義務の判定にあたっては納税義務の免除の項目を参照するよう案内しています。(出典:国税庁「No.3240 個人が事業用建物等を譲渡した場合の消費税」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3240.htm/2026年9月時点)

売却によって課税売上高が大きく動くと、その影響が後の年の立場に及ぶ可能性もあります。売却年だけを見ず、前後の年を含めた見通しを税理士に立ててもらうことが備えになります。

分岐点③:取得費の資料をどこまで揃えられたか

ポイントは3個:
① 取得費が不明なら譲渡価額の5%で計算せざるを得ない場面がある
② 事業用部分は減価償却費相当額を差し引いて建物取得費を計算する
③ 資料探しは売却の意思決定より前に始めるのが得策

譲渡所得は、売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。取得費が不明な場合について国税庁は、土地建物を3,000万円で売った場合に取得費が不明のときは売った金額の5パーセント相当額である150万円を取得費とすることができるという例を示しています。(出典:国税庁「No.3258 取得費が分からないとき」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm/2026年9月時点)

先代から引き継いだ物件では、購入当時の契約書が見当たらないケースが少なくありません。5%で計算すると譲渡所得が膨らみ、税負担に跳ね返ります。借入資料や通帳の記録など手がかりを早めに洗い出し、どこまで取得費を組み立てられるかを税理士と検討することが分かれ目です。

建物の取得費は減価償却費を差し引く

建物の取得費は、購入代金や建築代金などの合計額から減価償却費相当額を差し引いた金額となります。また、業務の用に供される資産の場合には、登録免許税や不動産取得税、印紙税といった税金は取得費に含まれないとされています。(出典:国税庁「No.3252 取得費となるもの」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3252.htm/2026年9月時点)

事業用部分は過去の申告で減価償却費を必要経費に算入してきた一方、居住用部分の扱いは異なります。この二重構造を反映させないと計算がずれるため、過去の申告書を揃えて税理士に確認を依頼するのが安全です。

分岐点④:所有期間の判定と売却時期を誤っていないか

ポイントは3個:
① 長期・短期の区分は「譲渡した年の1月1日現在」で判定する
② 税率の差は大きく、引渡し時期の数か月差が結果を変えることがある
③ 居住用部分には所有期間10年超の軽減税率という選択肢もある

国税庁は、譲渡した年の1月1日現在の所有期間が5年を超える土地や建物を売ったときは長期譲渡所得として計算するとし(出典:国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm/2026年9月時点)、5年以下の場合は短期譲渡所得として、税額は課税短期譲渡所得金額に30%(住民税9%)を乗じて計算するとしています。(出典:国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm/2026年9月時点)いずれも、平成25年から令和19年までは復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1パーセントを所得税と併せて申告・納付することとされています。

注意したいのは「1月1日現在」という基準日です。5年を過ぎたつもりでも、判定は引渡し日ではなくその年の元日で行われます。スケジュールを組む段階で、税理士に起算点を確認しておくと安心です。

居住用部分には、所有期間10年超のマイホームを売ったときの軽減税率の特例という選択肢もあります。(出典:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm/2026年9月時点)どの制度を組み合わせるかは事案ごとに異なるため、複数パターンの試算を税理士に依頼するのが実務的です。

買い換えを視野に入れる場合

売却後に別の事業用資産を取得する予定があるなら、事業用資産の買換えの特例が視野に入ります。この特例では、譲渡資産の譲渡の日または買換資産の取得の日のいずれか早い日を含む三月期間の末日の翌日から2か月以内に届出書を税務署長に提出することなどが求められています。(出典:国税庁「No.3405 事業用の資産を買い換えたときの特例」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3405.htm/2026年9月時点)

期限のある手続を伴う制度は、知らなかったでは取り返しがつきません。買い換えの可能性があるなら、売却活動の前に税理士へ相談しましょう。

分岐点⑤:テナント・賃借人の扱いを整理できているか

ポイントは3個:
① 賃貸中のまま売るか、空けてから売るかで買主層が変わる
② 建物賃貸借の終了には借地借家法上の要件が関わる
③ 契約書・敷金・原状回復の整理は弁護士の確認を受けておく

1階を第三者に貸している場合、賃借人の存在が売却の設計を左右します。賃貸中のまま売れば投資家に収益物件として提示できますが、自分で使いたい実需は敬遠しがちです。空室にしてから売れば実需に届きやすい一方、賃料収入は止まります。

ここで軽視できないのが、建物の賃貸借に関する法律関係です。契約の更新や終了については借地借家法に定めが置かれ、貸主側の都合だけで自由に終了させられるものではありません。(出典:e-Gov法令検索「借地借家法」https://laws.e-gov.go.jp/law/403AC0000000090/2026年9月時点)交渉や立退きの可否は、早い段階で弁護士に相談しておくのが安全です。

引き継ぐ書類の精度が価格を決める

賃貸中のまま売る場合、買主は賃貸借契約書、賃料の入金実績、敷金の預かり状況、修繕履歴を精査します。契約内容と運用がずれている、敷金残高が曖昧といった状態は、買主から見れば引き継ぐリスクです。書類を整え、承継のさせ方を弁護士に確認しておくことが価格の維持につながります。精算金の処理は税理士にも確認しておきましょう。

分岐点⑥:買主層の設計と売却コストの把握

ポイントは3個:
① 実需・投資家・事業者では価格の評価軸が異なる
② 仲介手数料の上限は国土交通省告示で定められている
③ 印紙税には期限つきの軽減措置がある

宅地建物取引業者が受け取ることのできる報酬の額は、宅地建物取引業法第46条を受けて国土交通大臣が定める告示によって上限が設けられています。(出典:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(昭和45年建設省告示第1552号)」https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000266.html/2026年9月時点)同告示は令和6年6月21日国土交通省告示第949号によって改正され、令和6年7月1日から施行されています。

また、改正後の告示では、低廉な空家等を売買代金の額が800万円以下の宅地または建物と定義したうえで、媒介に要する費用を勘案して算出した金額を超えて報酬を受け取ることができるとし、その場合に依頼者から受ける報酬の額は30万円の1.1倍に相当する金額を超えてはならないとしています。(出典:同告示/2026年9月時点)

印紙税の軽減措置

売買契約書には印紙税がかかりますが、平成26年4月1日から令和9年3月31日までの間に作成される不動産の譲渡に関する契約書などは、税額が軽減されることとされています。(出典:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7108.htm/2026年9月時点)

仲介手数料、印紙税、登記関係費用、測量費、譲渡所得に対する税金。これらを積み上げてはじめて手取りが見えます。概算段階で税理士に試算を依頼しておけば、交渉で応じられる下限の判断軸を持てます。

分岐点⑦:契約不適合責任と告知の設計

ポイントは2個:
① 契約内容に適合しない場合、買主は追完請求などができる
② 特約の設計と告知の範囲は弁護士に確認しておく

売却後に起こりやすいのが、引渡し後に判明した不具合をめぐる争いです。民法は、引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡しまたは不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができると定めています(民法第562条第1項)。(出典:e-Gov法令検索「民法」https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089/2026年9月時点)

店舗付き住宅は、住宅設備に加えて店舗部分の給排水・ダクト・電気容量・厨房設備など確認対象が多くなりがちです。どこまでを契約の内容とし、免責特約の効力がどこまで及ぶのか。契約書の書きぶりで結果が変わるため、最終確認は弁護士に依頼しておくと安心です。

なお、宅地建物取引業者が関与する取引では、重要事項の説明や書面の交付について宅地建物取引業法に定めが置かれています。(出典:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」https://laws.e-gov.go.jp/law/327AC1000000176/2026年9月時点)判断に迷う告知事項があれば、弁護士の意見を仰ぐのが無難です。

得する売主が売却前に踏んでいる6つのステップ

ポイントは3個:
① 資料集めから始め、査定はその後にする
② 税務の試算と法務の確認を売り出し前に済ませる
③ 買主層を決めてから売却方針を固める
  • STEP1|資料を一か所に集める
    売買契約書、検査済証、図面、登記事項証明書、課税明細、過去の確定申告書、賃貸借契約書を揃えます。
  • STEP2|居住用と事業用の使用実態を整理する
    どの部分をどの用途にどれだけの期間使ってきたのか、図面上で色分けして書き出します。
  • STEP3|税理士に手取りの試算を依頼する
    複数の価格を前提に、譲渡所得税・消費税・諸費用を織り込んだ手取り額を出してもらい、特例の可否も税理士に確認します。
  • STEP4|賃貸借と契約条件を弁護士に確認する
    賃借人がいる場合の承継方法、敷金の精算、契約不適合責任の特約を弁護士と洗い出します。
  • STEP5|買主層を決める
    実需か、投資家か、事業者か。決まってはじめて、賃貸中で売るか空けて売るかを判断できます。
  • STEP6|売り出し価格と下限ラインを決める
    試算した手取りをもとに、応じられる下限を先に決めます。値引き交渉で慌てないための準備です。
  • 両者の差は交渉力ではなく、この順番を守れたかどうかに表れる傾向があります。査定を先に取り、価格に一喜一憂してから税務を考える。順序が逆転すると、選択肢は減っていきます。

    【税務・法務に関する専門家相談のご案内】

    税理士(不動産投資に詳しい方)
    按分方針、3,000万円特別控除や軽減税率の適用可否、消費税の納税義務判定、取得費の組み立て、買換え特例の手続スケジュール、確定申告。数値に関わる判断は、売り出し前から税理士に相談しておくことで選択肢を確保しやすくなります。

    弁護士(不動産・事業用取引に詳しい方)
    賃貸借契約の承継や終了の交渉、敷金や原状回復の整理、契約不適合責任の特約設計、告知事項の範囲、共有名義や相続がからむ権利関係。契約書に落とし込む前に弁護士の確認を受けておくと、引渡し後の紛争リスクを抑えやすくなります。

    建築士
    図面と現況の相違、増改築の履歴、用途に関する適法性の確認。面積の整理でも専門的な確認が役立ちます。

    設備業者
    店舗部分の給排水設備、換気・ダクト、電気容量、厨房設備の状態確認。引渡し前の把握が契約条件を整理する前提になります。

    よくある質問(FAQ)

    ポイントは1個:
    ① 以下はいずれも一般的な考え方であり、個別の適用可否は税理士・弁護士へご確認ください
    Q1. 店舗を廃業してから売ったほうが有利になりますか?
    一概には言えません。居住用の使用割合が高まれば特例の及ぶ範囲が広がる可能性がある一方、稼働中のほうが事業者や投資家に訴求しやすい場合もあります。有利不利は税理士に試算してもらったうえで判断するのが目安です。
    Q2. 3,000万円特別控除は店舗付き住宅でも使えますか?
    国税庁は、適用を受けられるのは自分の居住の用に使っていた部分に限られるとしつつ、その部分が全体のおおむね90パーセント以上であるときは全体を居住の用に使っていたものとして適用を受けることができるとしています。(出典:国税庁「No.3452」)判定は税理士にご確認ください。
    Q3. 売却したら必ず消費税がかかりますか?
    課税の対象になるかどうかと納税義務が生じるかどうかは別の論点です。国税庁は事業用建物の譲渡が課税の対象になるとしたうえで、納税義務の判定は納税義務の免除の項目を参照するよう案内しています。(出典:国税庁「No.3240」)判定は税理士にご相談ください。
    Q4. 契約書の土地と建物の内訳はどう決めればよいですか?
    内訳の決め方は消費税額や譲渡所得の計算に影響し、買主側の減価償却にも関わります。合理的な根拠に基づく配分が前提のため、考え方は税理士に、契約書の表現は弁護士に確認しておくと安心です。
    Q5. テナントが入居したままでも売却できますか?
    賃貸借契約を引き継ぐ形での売却は一般的に行われています。ただし賃借人の権利は借地借家法の適用を受け、貸主の都合だけで終了させられるものではありません。(出典:e-Gov法令検索「借地借家法」)承継方法や敷金の扱いは弁護士にご確認ください。
    Q6. 購入時の契約書が見つかりません。どうなりますか?
    取得費が分からないときは、売った金額の5パーセント相当額を取得費とすることができるとされています。(出典:国税庁「No.3258」)譲渡所得が大きくなりやすいため、裏づけ資料を早めに探し、税理士に相談することが重要です。
    Q7. 所有期間5年の判定はいつの時点で行いますか?
    譲渡した年の1月1日現在の所有期間で判定するとされています。(出典:国税庁「No.3208」「No.3211」)引渡し日を基準に考えると誤りやすいため、税理士に確認しておくと安心です。
    Q8. 売却後に別の事業用物件を買う予定があります。特例はありますか?
    事業用資産の買換えの特例があり、届出書の提出など期限のある手続要件が定められています。(出典:国税庁「No.3405」)要件は細かいため、計画段階から税理士に関与してもらうことが目安です。
    Q9. 仲介手数料に上限はありますか?
    宅地建物取引業者が受け取ることのできる報酬の額は、国土交通省の告示(昭和45年建設省告示第1552号、最終改正 令和6年6月21日国土交通省告示第949号)で上限が定められています。媒介契約の前に内容を確認しておきましょう。
    Q10. 契約不適合責任を免責にすることはできますか?
    民法は、引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものであるときの買主の追完請求権を定めています(民法第562条第1項)。(出典:e-Gov法令検索「民法」)特約でどこまで調整できるかは事情により異なり得るため、条項の設計は弁護士にご確認ください。

    まとめ|分岐点は「売り出す前」に集中している

    ポイントは3個:
    ① 按分・消費税・取得費・時期の4点が手取りを左右しやすい
    ② 賃借人と契約条件の整理は価格の維持につながる
    ③ 税理士と弁護士への相談は、売り出し前に行うのが目安

    店舗付き住宅の売却は、住宅と事業用不動産の側面が同時に問われる取引です。居住用部分の按分、消費税の課税判定、取得費の積み上げ、引渡し時期。この4点だけでも、手取り額には無視できない差が生まれる傾向があります。

    賃借人がいる場合の権利関係、契約不適合責任の範囲、告知事項の整理といった法務面も、価格と引渡し後の安心に直結します。契約締結後では修正が効かないため、査定の前に税理士と弁護士へ相談しておくことが最も費用対効果の高い準備になり得ます。

    得する売主は、特別な裏技を使っているわけではありません。資料を揃え、実態を整理し、専門家に確認し、選択肢を残したまま交渉に臨む。その順番を守っているだけです。

    ※本記事の制度・数値は2026年9月時点の一次情報に基づきます。税制・関連法令は改正される可能性があるため、税務署または税理士、法務面は弁護士にご確認ください。

    ── ご相談はこちら ──

    事業用不動産の売却、まずはご相談ください

    区分店舗・区分事務所・事業用区分マンション・店舗付き住宅・築古ビルなど、事業用不動産の売却をお考えの方はLINEからお気軽にご相談ください。

    LINEで相談する

    S

    SUNNY SIDE LIFE

    事業用不動産専門メディア

    事業用不動産に特化した情報メディアです。実務経験と一般的に公開されている情報をふまえ、取得・融資・運用・売却までの情報などを発信しています。

    【重要】当サイトご利用にあたっての注意事項

    ■ 情報の位置づけについて

    本サイトに掲載されている記事は、一般的な参考情報として作成・提供されています。特定の個人や法人に対する専門的助言、推奨、保証を行うものではありません。

    ■ 読者の皆様へ

    • 本サイトの情報はあくまで参考材料としてご活用ください
    • 実際の不動産取引、投資判断、契約行為等は、必ず専門家(不動産会社、税理士、弁護士等)にご相談のうえ、ご自身の責任において行ってください
    • 本サイトの情報を参考にした結果生じた損害、トラブル、法的問題等について、当サイトは一切の責任を負いません

    ※本サイトの情報に基づく判断・行動は、すべて閲覧者ご自身の責任において行われるものとします。