1階の店舗を閉めた店舗付き住宅|売却すべきか賃貸に出すべきか

QUICK ANSWER ─ この記事が答える問い

1階の店舗を閉めた店舗付き住宅は、売るべきか、それとも貸すべきか?

1階の店舗を閉めた店舗付き住宅は、売却して現金化するか、賃貸に出して収益を得るかで悩みやすい資産です。売却は管理の手間がなく譲渡所得税が論点になり、賃貸は継続収入が見込める一方で空室や管理の負担、不動産所得への課税が生じます。店舗部分と住宅部分で税務や契約の扱いが異なるため、判断の前に税理士・弁護士へ相談すると安心です。

1階で営んでいた店舗を閉めると、店舗付き住宅は「使われないスペースを抱えたまま」という状態になりがちです。住み続けながら1階だけが空いている、あるいは全体をどうするか決めかねている、という声も一般的に聞かれます。このとき多くの方が直面するのが、「売却すべきか、賃貸に出すべきか」という選択です。

この判断は、単純な損得だけでは決められません。店舗付き住宅は、店舗部分と住宅部分で税金や契約の扱いが異なり、用途や法令上の制限も関わってきます。売却すれば管理から解放される一方で譲渡所得税が論点になり、賃貸に出せば収入が見込める反面、空室リスクや管理の手間、不動産所得への課税が生じる傾向があります。

この記事では、売却・賃貸それぞれのメリットとデメリット、税金の違い、店舗と住宅が混在することの注意点、そして判断のためのチェックポイントを整理します。なお、最適な選択は資産の状況や家族の事情によって大きく変わります。実際の判断にあたっては、税理士や弁護士など専門家へ相談することを強くおすすめします。

店舗を閉めた店舗付き住宅が抱える課題

ポイントは2個:
① 使わない店舗部分を抱え続けると、維持費や税負担だけが残りやすい
② 店舗と住宅の混在で扱いが複雑になるため、早めに税理士へ相談したい

店舗を閉めた後の店舗付き住宅は、放置しておくと固定資産税などの維持費だけが継続してかかる状態になりがちです。建物は使わなくても劣化が進む傾向があり、空きスペースが防犯や近隣への影響につながることもあります。何も決めないまま時間が過ぎることが、かえって負担になるケースは少なくありません。

さらに、店舗付き住宅は店舗部分と住宅部分で税務や法的な扱いが異なるため、判断が複雑になりやすい資産です。売却・賃貸のどちらを選ぶにしても、まずは現状の税負担や使える選択肢を整理することが出発点になります。建物の用途や面積の割合によって扱いが変わることもあるため、早い段階で税理士に全体像を相談しておくと、方針を立てやすくなります。あわせて、空いた店舗を住宅と一体で使い続けるのか、用途を分けて活用するのかによっても取り得る選択肢が変わってきます。現状を「なんとなく」のまま続けるほど判断材料が古くなりやすいため、状況の棚卸しは早めに行うのが望ましいといえます。

「売却」を選んだ場合のメリット・デメリット

ポイントは3個:
① まとまった資金が得られ、管理・維持の手間から解放されやすい
② 譲渡所得税が論点になり、利益の出方で税負担が変わる
③ 税額や使える特例は状況次第のため、税理士の試算が有効

売却の大きなメリットは、まとまった資金を一度に得られ、その後の管理や維持の手間、固定資産税などの負担から解放されやすい点です。空室リスクや修繕の心配を抱え続けなくて済むため、資産を整理したい方には合理的な選択になり得ます。

一方でデメリットとして、売却益が出た場合には譲渡所得税・住民税がかかる傾向があります。所有期間が概ね5年を超えるかどうかで税率の目安が変わるとされ、店舗付き住宅は住宅部分と店舗部分で扱いが分かれることもあるため、計算は単純ではありません。一度手放すと将来の収入源を失う、という見方もできます。

なお、住宅部分については一定の要件を満たすと特別控除が使える場合があるとされますが、店舗部分には適用されないなど、用途による違いがあります。どの範囲に何が使えるかは状況によって変わるため、売却を検討する段階で税理士に税額の試算を依頼しておくと、手取りの見通しを立てやすくなります。

「賃貸」を選んだ場合のメリット・デメリット

ポイントは3個:
① 継続的な家賃収入が見込め、資産を手放さずに活用できる
② 空室・管理・修繕の負担や、不動産所得への課税が生じる
③ 収支と税金の見通しは税理士、契約面は弁護士に確認したい

賃貸のメリットは、資産を手放さずに継続的な家賃収入が見込める点です。1階の店舗部分を店舗やオフィスとして貸す、あるいは用途を見直して活用するなど、立地や条件によっては安定した収益につながる可能性があります。将来的に再び自分で使う余地を残せる点も、売却にはない利点です。

ただし、賃貸には空室リスクや、入居者対応・修繕などの管理の手間が伴います。家賃収入は不動産所得として他の所得と合算され、課税の対象になる傾向があります。店舗部分の賃料については、一定の事業者の場合に消費税の取り扱いが関係することもあり、住宅としての家賃とは扱いが異なるとされます。

賃貸を選ぶ場合は、家賃収入だけでなく、税金や管理費を差し引いた手元に残る金額で考えることが大切です。減価償却や経費の扱いも含めた収支の見通しは税理士に、賃貸借契約の条件や入居者とのトラブルに備えた契約面は弁護士に、それぞれ確認しておくと安心です。空室期間や修繕費といった変動要素も見込んだうえで、無理のない収支計画を立てられるかどうかが判断の分かれ目になります。

売却・賃貸それぞれにかかる税金の違い

ポイントは3個:
① 売却は譲渡所得税、賃貸は不動産所得への課税が中心になる
② 店舗部分は消費税、固定資産税の扱いも論点になり得る
③ 税の仕組みが大きく違うため、比較には税理士の試算が欠かせない

売却と賃貸では、関わる税金の種類そのものが異なります。判断の前に、どんな税金がかかるのかを整理しておきましょう。

観点 売却した場合 賃貸に出した場合
中心となる税金 譲渡所得税・住民税 不動産所得への所得税・住民税
課税のタイミング 売却した年に一度 収入がある間、毎年継続
消費税の論点 建物部分で関係し得る 店舗部分の賃料で関係し得る
維持にかかる税 手放せば負担はなくなる 固定資産税が継続

売却は、利益に対して一度に課税される一方で、その後の税負担は基本的になくなります。賃貸は、収入のある間は毎年課税される代わりに、経費や減価償却を差し引いて所得を計算できる仕組みです。どちらが手元に多く残るかは、利益の大きさや保有期間、他の所得との関係によって変わってきます。

加えて、店舗を閉めて用途が変わると、土地にかかる固定資産税の住宅用地の特例などに影響が出る場合があるとされ、思わぬ負担増につながることもあります。これらは仕組みが複雑で、自己流の比較では結論を誤りやすい領域です。売却と賃貸のどちらが有利かは、税理士に両方のケースを試算してもらったうえで比較すると、納得感のある判断につながります。

店舗部分と住宅部分が混在することの注意点

ポイントは2個:
① 店舗と住宅で税務・契約・用途の扱いが分かれる
② 用途変更には法令上の確認が必要で、弁護士や建築士の視点も重要

店舗付き住宅で最も注意したいのが、店舗部分と住宅部分が混在していることによる扱いの違いです。税務では、住宅部分と事業用の店舗部分で特別控除や消費税の扱いが分かれる傾向があります。売却益や家賃収入を計算する際も、面積などに応じて按分が必要になることがあり、計算が複雑になりやすい点に注意が必要です。

また、閉めた店舗部分を別の用途で貸す場合には、用途地域や建築基準法などの法令上の制限を確認する必要があります。これまで店舗だったスペースを、想定どおりの用途で使えるとは限らないためです。契約面でも、住居用の賃貸と事業用の賃貸では契約条件や注意点が異なる傾向があります。

こうした混在ならではの論点は、税務の按分は税理士、契約や用途変更の法的な可否は弁護士、建物の状態や遵法性は建築士、と専門分野に応じて確認するのが安全です。判断を誤ると後から是正が必要になることもあるため、早めの相談がトラブル防止につながります。とくに店舗部分と住宅部分の面積按分は、譲渡所得や不動産所得の計算、消費税の判定など複数の場面に影響するため、最初に税理士と整理しておくと、その後の手続き全体がスムーズになりやすい傾向があります。

売却か賃貸かを判断するためのチェックポイント

ポイントは2個:
① 資金ニーズ・管理負担・収益見込み・税金を総合的に比べる
② 数字の比較は税理士と一緒に行うと判断がぶれにくい

売却と賃貸のどちらが向いているかは、次のような視点を整理すると考えやすくなります。

  • ① 資金のニーズ
    まとまった資金が必要か、当面の収入を重視したいか。
  • ② 管理の手間をどう考えるか
    入居者対応や修繕に手間をかけられるか、負担を避けたいか。
  • ③ 賃貸の収益見込み
    立地や用途から、安定した家賃が見込めそうか。
  • ④ 税金の見通し
    売却時の譲渡所得税と、賃貸時の毎年の課税を比べる。
  • ⑤ 将来の使い道
    相続や再利用の予定があるか、資産を残したいか。
  • これらの視点は、人によって優先順位が異なります。とくに税金の見通しは判断の結果を左右しやすいため、感覚だけで決めず、税理士と一緒に売却・賃貸それぞれの数字を比べてみることをおすすめします。将来、相続が見込まれる場合は、相続まで含めた整理が必要になることもあるため、税理士に加えて弁護士へ相談しておくと判断がぶれにくくなります。

    【税務・法務に関する専門家相談のご案内】

    ● 税理士(不動産投資専門)
    売却時の譲渡所得の計算、賃貸時の不動産所得や減価償却・経費の整理、店舗部分と住宅部分の按分、消費税や固定資産税の扱い、特別控除の適用可否など、売却・賃貸の税金比較は税理士の専門領域です。両方のケースを試算してもらうと、手取りで見た有利不利を判断しやすくなります。

    ● 弁護士(不動産・事業用)
    賃貸借契約の条件設定、入居者とのトラブルや立ち退き、用途変更にかかわる法的な可否、共有名義や相続が絡む場合の権利関係など、契約・紛争面は弁護士への相談が有効です。契約書の条項チェックを依頼することもできます。

    ● 建築士
    店舗部分を別の用途で使う場合の遵法性、リフォームや改修の要否・規模の確認には建築士の視点が役立ちます。賃貸に出す際の条件整理にも活用できます。

    ● 設備業者
    給排水・空調・電気などの設備の状態確認や、賃貸前・引き渡し前の補修対応では設備業者の協力が役立ちます。事前点検はトラブル防止にも有効です。

    よくある質問(FAQ)

    1階の店舗を閉めた店舗付き住宅の売却・賃貸について、よく寄せられる疑問を10問にまとめました。具体的な金額や適用要件は状況により異なるため、最終的な判断は税理士・弁護士など専門家にご確認ください。
    Q1. 店舗を閉めたら、売却と賃貸のどちらが有利ですか?
    資金ニーズ・管理負担・収益見込み・税金などによって変わるため一概には言えません。手取りで見た比較が大切なので、税理士に両方のケースを試算してもらうのがおすすめです。
    Q2. 売却したらどんな税金がかかりますか?
    利益が出た場合は譲渡所得税・住民税が中心になりやすいです。住宅部分と店舗部分で扱いが分かれることもあり計算が複雑なため、税理士の試算が確実です。
    Q3. 賃貸に出すとどんな税金がかかりますか?
    家賃収入は不動産所得として他の所得と合算され、課税の対象になる傾向があります。経費や減価償却の扱いも関わるため、収支と申告は税理士に確認すると安心です。
    Q4. 住宅部分の特別控除は使えますか?
    一定の要件を満たせば住宅部分で控除が使える場合があるとされますが、店舗部分には適用されないなど用途による違いがあります。適用可否は税理士に確認するのが確実です。
    Q5. 店舗を閉めると固定資産税は変わりますか?
    用途が変わると土地の住宅用地の特例などに影響が出る場合があるとされ、負担が変わることがあります。見通しが立てにくい論点なので、税理士に確認しておきましょう。
    Q6. 1階の店舗を別の用途で貸せますか?
    用途地域や建築基準法などの制限により、想定どおりの用途で使えるとは限りません。法的な可否は弁護士に、建物面は建築士に確認しておくと安心です。
    Q7. 店舗部分の家賃に消費税はかかりますか?
    店舗・事業用の賃料は、一定の事業者の場合に消費税が関係し得るとされ、住宅家賃とは扱いが異なる傾向があります。判定は難しいため、税理士への確認が欠かせません。
    Q8. 賃貸借契約で気をつけることはありますか?
    住居用と事業用で契約条件や注意点が異なる傾向があります。原状回復や中途解約などでトラブルになりやすいため、契約書の条項は弁護士に確認してもらうと安心です。
    Q9. 相続を考えるなら売却と賃貸どちらがよいですか?
    相続のしやすさや評価、共有による権利関係など多くの要素が関わります。一概には言えないため、税理士と弁護士の両方に相談して整理するのがおすすめです。
    Q10. まず何から始めればよいですか?
    現状の税負担と、売却・賃貸それぞれの見通しを整理することからです。早めに税理士へ相談し、契約や用途が絡む場合は弁護士にも確認すると、判断材料がそろいやすくなります。

    まとめ

    ポイントは3個:
    ① 売却は資金化と負担解消、賃貸は収益と資産保持がそれぞれの軸
    ② 店舗と住宅の混在で税務・契約・用途の扱いが分かれる
    ③ 数字の比較は税理士、契約や用途は弁護士に相談して判断する

    1階の店舗を閉めた店舗付き住宅は、売却して資金化し管理の負担から解放されるか、賃貸に出して資産を保ちながら収益を得るか、という選択を迫られます。売却は譲渡所得税、賃貸は毎年の不動産所得への課税が中心となり、さらに店舗部分と住宅部分の混在によって、消費税や固定資産税、特別控除の扱いが分かれる点が判断を難しくします。

    大切なのは、家賃や売値といった表面的な数字ではなく、税金や費用を差し引いた手元に残る金額と、将来の使い道まで含めて比べることです。税の仕組みが大きく異なるため、売却・賃貸それぞれのケースを税理士に試算してもらい、契約や用途変更が絡む部分は弁護士に確認することで、納得感のある判断につながります。

    放置して維持費だけがかかり続ける状態を避けるためにも、まずは現状を整理し、早めに専門家へ相談することが第一歩です。本記事を全体像の把握に役立てつつ、具体的な判断は税理士・弁護士とともに進めていきましょう。

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